学会について
理事長再任のご挨拶
2025年度の新たな船出
新たな年度の期首にあたり日本病院総合診療医学会理事長としてご挨拶申し上げます。
2025年2月に広島で開催されました第30回日本病院総合診療医学会学術総会は文字通り当学会の節目の会となると同時に幾つかの点で記念すべき総会となりました。
第一に、「日本における病院総合診療の現状と今後の展望」と題した記念シンポジウムが今後のわが国のホスピタリストのあり様を思い描く実践的な場となりました。本企画は学会初日に日本専門医機構総合診療専門医検討委員会生坂政臣委員長と当学会内藤俊夫副理事長の司会のもとに行われ、当学会理事長としての基調講演「日本病院総合診療医学会からの提言」に続き厚生労働省迫井正深医務技監、板橋中央総合病院加藤良太朗院長が日本が求める病院総合診療医について講演、続いて若手病院総合診療医の中川 麗先生(JR札幌病院)、野木真将先生(亀田総合病院)、香月尚子先生(佐賀大学)、青木のぞみ先生(順天堂大学)から現場の声、さらにディスカッサントとして米国Society of Hospital Medicine (SHM)の今年度PresidentであるProfessor Flora Kisuule (Department of Medicine, Johns Hopkins University)と元PresidentのProfessor Kris Rehm(Department of Pediatrics, Vanderbilt University)から米国ホスピタリストの実状が紹介されて、医療制度など国状に基づくホスピタリストの各々の在り方を現実的に思い描く機会なりました。そのSHMからの両名には第二日目に本格的なInternational sessionとしてCompetencyやLeadershipを熱弁され今年4月のLas VegasでのConvergeでも引き続き意見交換することになっています。確実にホスピタリストへの関心は高まっており実地臨床の場から求められている実感が増幅しました。加えて、もう一つの第30回記念企画として日本プライマリ・ケア連合冬季セミナーとの同時開催の試みが学会内外で話題となりました。まだ試みの域を出ない印象もありましたが総合診療専門医のキャリアプランという観点にとどまらず、コンソーシアムによる運営など専門医制度の今後を占ううえでも重要なマイルストーンになったとものと思われます。ただし会合の具体的な運営の仕組みや参加者の物理的な利便性に視点が集中しがちですが、学びの場として純粋高潔な学際的空間の提供であるか否か、を検証することは必要でしょう。いずれにせよ記念企画として意義深い機会となりました。
さて、2022年に掲げて今なお維持している『骨太の方針』(ガバナンスの強化、学際的な学術活動、専門医制度の充実)は堅持しています。学会活動が活発化するにつれ組織力の向上は喫緊の課題です。この度、副理事長職3名に加えて特命理事長補佐(事務局担当、専門医制度担当、DE&I担当)、各地区代表および幹事を委嘱して体制の拡充を進めています。学際的な学術活動としては学術総会のおける他学会との合同開催が拡大しており、専門医制度に関しても特任指導医制度の進化・深化が進み専門医誕生数も増加が見込まれるとともに育成を担う認定施設も確実に充実しつつあります。会員諸兄のご理解とご支援により成熟しつつある学術活動を一層進化させるために全力で諸課題に取り組む所存ですので引き続きご指導のほど宜しくお願い申し上げます。
2025年4月 日本病院総合診療医学会理事長 田妻 進 |